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さんごくし
三国志
吉川 英治
06 孔明の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 161,356 字 · 323 页
しかし、袁尚の側にいる智者の審配が反対した。――そのまに袁譚はいよいよ苦戦に陥ってしまい、逢紀が独断で、冀州へ書簡を送ったことも耳にはいったので、
「怪しからん奴だ」と、その僭越をなじり、自身、手打ちにしてしまった。そして、
「この上は、ぜひもない。曹操に降って、共に冀州の本城を踏みつぶしてやろう」
と、やぶれかぶれな策を放言した。
冀州の袁尚へ、早馬で密告したものがある。袁尚も愕き、審配も愕然とした。
「そんな無茶をされてたまるものではない。大挙すぐ援軍にお出向き遊ばせ」
審配のすすめに、彼と蘇由の二人を本城にとどめて、袁尚自身、三万余騎で駈けつけた。それを知ると袁譚も、
「なにも好んで曹操へ降参することはない」
と、意をひるがえして、袁尚の軍と、両翼にわかれ、士気をあらためて曹軍と対峙した。
そのうち、二男の袁煕や甥の高幹も、一方に陣地を構築し、三面から曹操を防いだのでさしもの曹軍も、やや喰いとめられ、戦いは翌八年の春にわたって、まったく膠着状態に入るかと見えたが、俄然二月の末から、曹軍の猛突撃は開始され、河北軍はなだれを打って、その一角を委ねてしまった。