轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

「週刊朝日」1942(昭和17)年1月4日号~5月24日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 页

青空文庫

当然。そこへ迫るときは、謙信の旗本も、信玄の旗本も、たがいに体と体のぶつかるほど、混み合っていた。

けれど、彼もこれも、殆ど、横の敵を意識しなかった。

武田方の旗本は、信玄の万一を思い、上杉勢の旗本もまた、謙信の身を案じて、双方ともにその燃ゆる眼や凄じい姿勢の前には、ただ主君の安危如何があるだけで、それ以外の何ものもなかったのである。

このとき謙信は単騎、信玄の営中に駆け込み、信玄その人を眼に見、しかも小豆長光の一颯、また二刃も空しく、わずかに信玄の右腕に軽傷を与えたのみで、敵の原大隅に邪げられ、槍の柄で乗馬の尻を打たれたため、放生月毛は、彼を乗せたまま、跳ね驚いて、猛然、そこの陣営から横ざまに駆け出して来た。

「あッ――」

名状すべからざる混乱中でまだよかったともいえる。木の根にでも躓いたのか、放生月毛は前へのめった。そして謙信は勢いよく落馬していた。

追い慕った原大隅、その他、幾つかの槍は、

「得たり」

と、われがちに、謙信のすがたを臨んで、おどり蒐る。

「あなや。御危急」

上杉方の旗本が、何で看過していよう。どっと、横ざまに驀走。

「ござんなれ」