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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
副頭領の楠右衛門、四人の小頭、十人衆、いわゆる家の子郎党が、クルクルクルクルと立ち働く。
蔵内の暑さ、人いきれ、その中に殺気が充ちている。
「ところでおとしあなは掘ったかな? 逆茂木をうんとこさこしらえて置け!」またも銅兵衛わめき立てる。「敵は大勢、しかも強い。血煙り矢だまをくぐって来た奴らだ! まごまごするとみな殺しにあうぞ!」
「ナーニ親方、大丈夫だ」誰とも知れず一人がいう。
「うん、そうとも、大丈夫だ」杉窪の銅兵衛すぐ応ずる。「が油断は禁物だ」
「ナーニ、あべこべにみな殺しにしてやる」
「うん、その元気。そいつが大事だ!」
ヨイショ、ヨイショ、ヨイショ、ヨイショ、武器を運び出す掛け声だ。ド――ンと遠くで爆発の音!
「えい、間抜けめ、もったいない。地雷弾を一つ落としゃアがった」
カツン、カツンと木を切る音! 掩護物を造るため、斧を振るっているのだろう。
なんのための戦闘準備? 何者がせめて来るのだろう?
「味方がほしいな。軍師がほしい」銅兵衛口の中でつぶやいている。「おれ一人では手が廻らない」
カパ、カパ、カパと蹄の音! 誰か物見に行くらしい。
その時バタバタと足音が、武器蔵の方へ走って来た。