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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
スペイン製らしい精巧な野砲。陣幕のそとには二頭の馬が、バリバリ草を食っている。
パチパチと篝火の燃える音、時々夜烏のはばたく音、百五十人の同勢は、いったいどこにいるのだろう? 出切ってしまったに相違ない。
「どうもいけないよ。浮世の連中、ひどく物事を信じたがってな」話の続きに相違ない。天草時行さえない調子で、忙中閑ありというように、こんな事をいい出した。「孫子呉子、六韜三略、などというからロクないくさは出来ない。すべて前人の作ったものは、認めないことにするがいい。認めるからこそ議論が起こる。議論というものは花が咲く。花ばっかり論じるようになる。自然根のことを忘れてしまう。地面に足がつかなくなる。そこで地上三尺生さ。『夜間の突撃には喊声を上げず』などということがいわれているが、場合によっては喊声もあげるさ。ナーニおれの筆法からいけば、『夜間の突撃には喊声を上げず』だからおれは喊声を上げると、こうアマノジャクにいきたいのさ。『土煙の高くして淡きものは、これ騎兵の行進なり』などということが書いてあるが、これだって実際いいかげんなものさ。大鹿の群れが走って行ったって、そういう徴候は見られるんだからなあ。