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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页

青空文庫

機嫌を取ってさてそれから?」

「は」といったがまたわからなかった。そこでもう一度ほめられようと、「失念致しましてございます」

「今度はいけない、零点だよ。失念ということがあるものか。お前ははなから知らなかったのだろう。そうそういつも柳の下に鰌というものはいるものではない。メッキははげる。以後注意! よろしいそれでは教えてやろう。南蛮寺を建てた原因はな、例の途方もない財産を、一所に集めるためだったのさ。集まったところでふんだくってやれ、つまりこういう腹だったのさ。ところがザビエルもただ者ではない。天父よ! などと変なことをいって、平気で南蛮寺を建てさせたが、お宝の方は出し惜しみをして、献上しなかったというものさ。そこで怒ったのが信長だ、おれが建てたんだからおれがこわす、ひどく合理的に考えて、南蛮寺を破毀し信徒をいじめ、日本における第一期の、宗教迫害をオッぱじめたのさ。つづいて出たのが秀吉さ。この男は一種の気違いでね、いってみれば誇大妄想狂だ。その秀吉が最初のうちは、やはり信長のまねをして、キリシタン宗徒を大事にしたが、これまた金がほしかったからさ。ところがどうしても献金をしない。