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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
「おおかたこうだろうと思っていた。おれにはきゃつらのやり口がわかる。築土新吾となのる奴、おれが獲物を持っていると、あくまでも信じているところから、お京様を奪い取り、それをおとりにおれを誘い、きゃつらのいうところの獲物なるものを、巻き上げようとするのだろう。なるほどな。うまい手だ。おれが獲物を持ってさえいたら、早速出すに相違ない。ただいかんせん、持っていない。第一獲物の性質さえ知らない。いったい何だろう、獲物とは? ……しかしそれはともかくとして、きゃつらの目的は獲物なのだ。有難いことにはお京様ではない。で明日にもきゃつらの方から、なんとかいってくるだろう。その時かまわず乗り込んでゆき、掛け合ってお京様を取り返してこよう」
で広太郎はこういって、小松原家へいとまを告げた。「拙者に少しく存じよりもあれば、まずまずおまかせくださいますよう。あすかあさって、両三日中には、お京様をきっと奪い返し、おつれいたすでございましょう。心配ござらぬ。ご安心なされ。特に臼井金弥殿にはな」
そとへ出ると薄月夜、明け近い深夜で人通りがない。
だが上野まで来た時である、うしろから人の足音がした。