轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
と、ジャラ――ンと鉄杖の音! 霧を分けてユラユラと、現われたのは城之介、滝壺を取り巻いた岩の上へ、ヒョロヒョロと上がると足をとめた。
「滝がかかっている。……音がしない。……行く手は絶壁、行きどまりだ。……お町め、お町め、どっちへ行ったかな」岩の上へ突いた鉄杖へ、痩せこけた身体をもたせかけ、空の眼で滝を眺めやった。
「島原! 島原!」とその時である、滝の中から声がした。
「おれを呼んでいる! 誰だろう?」
眼を見張った時、滝の背後から、崖へ現われた物影がある。人間だろうか? 人間らしい。だが正直に形容すれば、人骨といった方がよいようである。そんなにも痩せかれているのである。眉に赤毛が渦巻いている。腰に白布が翻っている。あとはむき出しの裸体である。胸から肋から手足から、血がひものように流れている。山の小父さん! 紅毛人である。
滝を左に、崖を背に、朝風になぶられる霧の中に、のびのびとして立っている。
「島原! 島原! どうして来たな!」体に似つかわしい、しわがれた声だ。
「ああ、あなたは、イマニエル司僧!」こう城之介の叫んだのは、しばらく経ってからの後であった。