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ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页

青空文庫

だが、神と仏が会ったり、巽の鬼を打やぶったり、何となく意味ありげでさっぱり分らないね。併し、云うまでもなく、この変な文句が曲者だよ。深山木氏が、態々はがして検べた程だからね」

「呪文みたいですね」

「そう、呪文の様でもあるが、僕は暗号文じゃないかと思うよ。命がけで欲しがる程値打のある暗号文だね。若しそうだとすると、この変な文句に、莫大な金銭的価値がなくてはならぬ。金銭的価値のある暗号文と云えば、すぐ思いつくのは、例の宝の隠し場所を暗示したものだが、そう思ってこの文句を読んで見ると、『弥陀の利益を探るべし』とあるのが、何となく『宝のありかを探せ』という意味らしくも取れるじゃないか。隠された金銀財宝は、如何にも弥陀の利益に相違ないからね」

「アア、そう云えばそうも取れますね」

えたいの知れぬ蔭の人物が(それはかの八十以上にも見える怪老人であろうか)あらゆる犠牲を払って、この表紙裏の反古を手に入れようとしている。それは反古の文句が宝の隠し場所を暗示しているからだ。それをどうかして嗅ぎつけたのだ。とすると、事件は非常に面白くなって来る。我々にこの古風な暗号文が解けさえすれば、ポオの小説の「黄金虫」