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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页
私は真実その様に思っていた。暫くして私は当面の宝探しの方へ話題を持って行った。
「僕は宝そのものよりも、暗号を解いて、それを探し出すことに、非常な興味を感じているのです。だが、僕にはまだよく分りません。あなたはすっかり、あの暗号を解いてしまったのですか」
「やって見なければ分らないけれど、何だか解けた様に思うのだが、君にも、僕の考えていることが大体分っているでしょう」
「そうですね。呪文の『神と仏がおうたなら』というのは、烏帽子岩の鳥居の影と石地蔵とが一つになる時という意味だ。という位のことしか分らない」
「そんなら、分っているんじゃないか」
「でも、巽の鬼を打破りってのが、見当がつかないのです」
「巽の鬼というのは、無論、土蔵の鬼瓦の事さ。それは君が僕に教えて呉れたんじゃありませんか」
「すると、あの鬼瓦を打破れば、中に宝が隠されているのですか。まさか、そうじゃないでしょう」
「鳥居と石地蔵の場合と同じ考え方をすればいいのさ。つまり、鬼瓦そのものでなくて、鬼瓦の影を考えるのだ。そうでなければ、第一句が無意味になるからね。それを丈五郎は、鬼瓦そのものだと思って、屋根へ上ってとりはずしたりしたんだ。