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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页
「馬鹿馬鹿しい。子供だって知っていることだ。僕達は少しどうかしているね」云いさして彼は又ゲラゲラ笑った。「夏は日が長い。冬は日が短い。君、これは何だね。ハハハハハ、地球に対して太陽の位置が変るからだ。つまり、物の影は、正確に云えば、一日だって同じ場所へ射さないということだ。同じ場所へ射す時は、夏至と冬至の外は、一年に二度しかない。太陽が赤道へ近づくとき、赤道を離れる時、その往復に一度ずつ。ね、分り切ったことだ」
「成程、本当に僕達はどうかしていましたね。すると、宝探しの機会も一年に二度しかないということでしょうか」
「隠した人はそう思ったかも知れない。そして、それが宝を掘出しにくくする屈強の方法だと誤解したかも知れない。だが、果してこの鳥居と石地蔵が、宝探しの目印なら、何も実際影の重なるのを待たなくても、いくらも手段はあるよ」
「三角形を書けばいい訳ですね。鳥居の影と石地蔵を頂点にして」
「そうだ。そして、鳥居の影と石地蔵との開きの角度を見つけて、鬼瓦の影を計る時にも、同じ角度丈け離れた場所に見当をつければいいのだ」
私達はそんな小さな発見にも、目的が宝探し丈けに、可成昂奮していた。