轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页
(初代さんを捨て子にした後の話だ)
同棲二年程で、春代さんは深山木氏の家で病死している。定めし死ぬ前に、捨て児のことも、系図帳のことも、岩屋島のことも、すっかり深山木氏に話したことであろう。これで、後年深山木氏が例の樋口家の系図帳を見るや否や、岩屋島へ駈けつけた訳が分る。
系図帳は樋口春雄(丈五郎の兄)からその妻の梅野に、梅野からその子の春代に、春代から初代にと伝えられたものであろう。無論彼等はこの系図帳の真価については何事も知らなかった。ただ正統の子が持ち伝えよという先祖の遺志を守ったに過ぎない。
では丈五郎はどうして、あの呪文がその中に隠してあることを知ったか。彼の女房の告白によれば、丈五郎がある日先祖の書遺した日記を読んでいて、ふとその一節を発見したのだ。そこには家に伝わる財宝の秘密が系図帳に封じこめられてあるという意味が記してあった。だが、それは春代の家出後だったので、折角の発見が何にもならなんだ。それ以来丈五郎は傴僂息子に命じて、春代の行衛探しに努めたが、当てのない探し物故仲々目的を達しなかった。大正十三年頃に至って、やっと今では初代がその系図帳を持っていることが分った。