轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ことうのおに

孤島の鬼

江戸川 乱歩

「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页

青空文庫

それから丈五郎がその系図帳を手に入れる為に、どれ程骨を折ったかは、読者の知っている通りである。

樋口家の先祖は、広く倭寇と云われている海賊の一類であった。大陸の海辺を掠めた財宝を夥しく所有していた。それを領主に没収されることを恐れて、深く地底に蔵し、代々その隠し場所を云い伝えて来たが、春雄の祖父に当る人がそれを呪文に作って系図帳にとじこめたまま、どういう訳であったか、その子に呪文のことを告げずして死んだ。徳さんの聞き伝えた所によると、その人は、卒中で頓死をしたらしいということである。

それ以来、丈五郎が古い日記帳の一節を発見するまで、樋口の一族はこの財宝について何事も知らなかった訳である。

だが、この秘密は、却って樋口一族以外の人に知られていたと考うべき理由がある。それは十年程以前、K港から岩屋島に渡り、諸戸屋敷の客となって、後に魔の淵の藻屑と消えたあの妙な男があるからだ。彼は明かに古井戸から地底に這入り込んだ。私達はその跡を見た。丈五郎の女房は、その男を想い出して、あれは樋口家の先祖に使われていた者の子孫であったと語った。それでは多分、その男の先祖が財宝の隠し場所を感づいていて、書遺しでもしたものであろう。