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ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
「朝日」博文館、1929(昭和4)年1月号~1930(昭和5)年2月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 181,795 字 · 359 页
解釈の方法がないではないが、そして、どうもそれが本当らしく思われるのだが、若しそうだとすると、実に恐ろしいことだ。前例のない極悪非道だ。考えても胸が悪くなる。人類の敵だ」
彼は訳の分らぬことを呟きながら、半ば無意識にステッキを動かしていたが、ふと気がつくと、そこの地面に妙な形が描かれていた。それは燗徳利を大きくした様な形で、花瓶を描いたものではないかと思われた。彼はその中へ、非常に曖昧な書体で、「七宝」と書いた。それを見ると、私は好奇心にかられて、思わず質問した。
「七宝の花瓶じゃありませんか。七宝の花瓶が何かこの事件に関係があるのですか」
彼はハッとした顔を上げたが、地面の絵模様に気づくと、慌ててステッキでそれを掻き消してしまった。
「大きな声をしちゃいけない。七宝の花瓶、そうだね。君も仲々鋭敏だね。これだよ分らないのは。俺は今その七宝の花瓶の解釈で苦しんでいたのだよ」
だが、それ以上は、私がどんなに尋ねても、彼は口を緘して語らぬのであった。
間もなく私達はカフェを出て巣鴨の駅へ引返した。方向が反対なので、私達がそこのプラットフォームで別れたのだが、別れる時、深山木幸吉は「四日ばかり待ち給え。