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しきぶこうじ
式部小路
泉 鏡花
「大阪毎日新聞」1906(明治39)年1月1日~1月27日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 74,847 字 · 149 页
でも、坂の下り口じゃちょいとでも気がさして、他の路を行きましょうぐらいはいえるだろうのに。
何事もなかった。
坂を下りかかると、今から思や、礼の心であんなすったか、並んで歩行いていた僕の手を、ちょいと握って、そのまますたすたと、……さよう、六足ばかり線路の方へ駈け出しておいでなさる、と思うと、よろよろとなすったようだから、危い! と声をかけようと思って、ここでつい我知らず、奥さん! といった。
すると愛吉が飛出しました。
これでお助んなすればよし、さもないと僕が手伝をして殺したも同然だ。)
と薬剤師、その責に任じて、涙ぐんでいったんでがすがね。
先生、命数、」
といった。同時に、
「命数、」
目と目を見合わせ、
「か。」
「も知れません。」
「竹永さん、貴老はまたどうしてそこへ行き合わせました?」
「そりゃこうでがす。
ええ、お待ちなさいよ。」
と丹平前に屈んで、握拳を掌で揉み、
「そうだ、ただいまのその巣鴨の植木屋、卯之吉の庭で、お夏さんの車の、矢のように飛んだを見て、別にあとをつけようという考はなかったんでがすがね。懐しくッてなりますまい。
青柳町だといった待て待て、どんな処に住ってるか行って見ようと、逆戻りにもみじへ入ると、や、ぞろぞろと人が居る、通天門を潜って出ると、ばらばらと見物でさ。