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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

「日本」講談社、1958(昭和33)年1月号~1961(昭和36)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 684,899 字 · 1374 页

青空文庫

「わかりました。何でもやりましょう」

「もうもう、ここを出るなんてことは、夢々考えないでくだされ。わしもさびしい。聟どのもまた嘆きますわい」

楊家の内では忙しない物音である。はや菩提寺からは、法事の諸道具、仏器一切が運び込まれていたから、石秀は寺男とともに、祭壇をくみたて、仏像、燈明、御器、鉦、太鼓、磬、香華などをかざりたてたり、また台所のお斎の支度まで手伝って、頻りに、てんてこ舞っていた。

「やあ、すまんね、石秀」

「オヤ兄貴ですか。お帰んなさいまし」

「いやほんとに帰って来たんじゃない。役署の手すきにちょっと様子を見に来たまでだ」

「じゃあまた、ご出勤ですか」

「こん夜は泊り番さ。いま女房にもいっといたが、万事君にお願いするよ。法要の執事なんてしたこともあるまいがね。はははは」

「何も経験です、どうかご心配なく」

「よろしく頼む」

主人の楊雄は、女房への義理立てみたいに、午過ぎ、ちょっと顔を見せたが、またすぐ出かけてしまった。すると、ほとんどそれと入れちがいに、一挺の法師轎が、供僧二人をしたがえて、玄関さきの前栽へしずしずと入って来た。

潘じいさんが、慌てて迎えに立ち。