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とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页
六
子スズメはそれらの同勢を引き連れて、山母の家に忍びこんだ。そしてトチの実は炉の火戸に、針は横座に、カニは水がめのなかに、土摺臼は戸の口の上に、ベゴ糞は上戸の踏み台の上に、めいめい隠れていた。
山母は外から帰ってきて、ああ寒々といって炉傍にどかりとすわり両脚を踏ん張って火に当たると、トチの実はドチンとはねて山母のふところに飛びこんだ。山母は驚いてあと退りすると横座の針がプチリと山母の臀に刺さった。あっといって水がめに飛びこむとなかのカニが鋏で山母の臍を切った。山母はこれはたいへんだと水がめから跳ね上がって外へ走り出ようとすると、踏み台のベゴの糞で踏ん滑のめってステンところんだ。そこを上から土摺臼が落ちてきてビチョリと押し潰してしまった(大正十二年二月一日の夜。前出の古屋敷君の話)。
六
こんなふうに、類型の話をいくつも集めて比較してみると、今日ひろく流布しているいわゆる現在のサルカニの合戦譚の古い原型などもだんだんとわかってくる。桃太郎話なども四、五種の類話があって、今日みなさんが知っている話とはだいぶ違ったものである。こんな説話の変遷転化してきた系統や性質を研究するのは、また民俗学者やその他の縄張りに属するから、収集者とはおのずから話が別になるのである。