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とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页
二
(4)種蒔きどきに歌う唄、すなわち畠蒔き唄というのは当方では、ただ、ヤイトヤアラ、サイトヤア……という意味をなさぬような調子である。この唄はながめうるだけながめるのが上手であるという。私たちの子どものじぶんに田尻村の新助ヤラというて、この唄の名人があり、その新助が畠で歌うと村中に通りわたったという、ヤラとはこの唄の調子からきたあだ名である。
(5)能の翁立の三番叟、黒色翁に何々明神とやら申して、狂言師のほうではたいへん、もったいぶっている舞がある。それがヒイヤロ、ヒュイヤロウと鈴を振る形(それがあたかも権兵衛が種蒔く型、そしてときどき後ろを振り返って、ホウと鳥でも追うようなしぐさをやる)カラス飛び(カラスの飛びはねるようなしぐさ)などの口伝などがあるので云々(山本鹿州氏談)。
二
ひょっとこの話に関しては、まだまだたいせつな民話がある。それは陸前の登米、本吉、気仙の諸郡から、陸中の東磐井、江刺(以上旧仙台領)、その他これらの地方に近接した地方にわたって行なわれている竈神とて粘土や木刻の円眼船口形の怪奇な面を家々の竈前の柱に掛けておく風習があることである。