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とうおういぶん

東奥異聞

佐々木 喜善

「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页

青空文庫

木の精と夫婦になった女の話

一

(2)セノ木という学名なんというか知らぬが、巨木となり板として白色宛然クルミ材のごとく、目、甚だあらいが、堅いゆえ広縁床の間敷などの板として賞用す。また装飾的の柱としても愛せられる。わが地方の山林に多し(「土の鈴」第十七輯および第十九輯南方熊楠先生のセノ木に関する解説参照)。

(3)村の老人は誰彼となくそういうが、いまはこの焼伐りのかわりにダイナマイトを用いて巨木を伐り倒している。

(4)巨樹の翁の話については本稿に対して南方熊楠先生の懇切該博なる御教示に預かるをえた。その考証は『閑話叢書』のうち「南方閑話」のなかに収めてある。ついて御覧を願いたい。

木の精と夫婦になった女の話

一

松島に遊んだとき、円福寺の観音堂のほとりにある一本のウメの木の由来を案内に立った老女から聴かされて、世にも優しい昔の人の心の残りがあるものだと思ったことがあります。

その話は昔、羽後の国象潟という所の娘が、まだ見知らぬ許婚の小太郎という若者を慕って、はるばるとこの松島の里までたずねきてみると、小太郎は先の日に病死したということ、そうして小太郎の両親のいうことには、これもはかない縁と諦めて、故郷へ帰って立身してくれとの言葉でありました。