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とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页
ませぬ。この七十五人口がかなり多くありまして、私は聴くたびごとにいちいち奇態に考えたことであります。つぎにはこのウソトキでありますが、これは他にいかなる名まえがあるにあっても、どうしてもその基本はやはりこのウソトキであったらしく思われます。
さてこう並べてみますと、キンノベココ、七十五人、ウソトキとこう三つの疑問となりますが、これはなにも金のウシでなくとも、ウマでもニワトリでもないしは玉でも茶釜でもよかったはず、またその他も同様でありましょう。しかしこれも今日流行の語原などというものがわかれば、あんがい易々なものかもしれませぬ。だが私の欲を申しますと、どうもそればかりをたよりにすることも、真に不安心なように思われます。でありますからこれはこのまま、生のままでみなさまの御垂教を仰ぎたいと思います。
それから、話は前後してあいすみませぬが、かつて私が上郷村にこの口碑を収集に出かけましたとき、同地の老人がいうことには、おれが先年釜石から帰村するとき、仙人峠で、秋田の人だという人と道連れになって、はしなくもなにゆえにこの山を仙人山というかという話が、おたがいの間に問題になりましたが、おれはじつはこの山のある沢に長者洞という古い金山の跡があり、そこで金のウシを掘り出そうとして千人の鉱夫が坑が落ちて死んだのから、この