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とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页
もしこれを数字にとったなら百のうち九十余まではそうだということができるだろう。しかしこのほうの研究調査はネフスキイ氏と共同でやっていることゆえここにはその材料を使うのを遠慮して、左にそれと抵触せぬように思う部類のみを二、三例話そう。
私はこれもじつは秘事念仏の黒仏ではないかと思い、それがなにかの関係で本家を離れて御堂住居になられたであろうと想像するものに、陸奥国三戸郡五戸町の観音堂の御本尊で、黒地蔵(5)と申す丈七、八寸くらいの胸部で合掌し細腰跪坐のお像がある。いまから三十年ばかりも前のことであろうが、なにかのわけでこの観音堂が焼けたとき、この黒地蔵がどこへか飛んでいって姿を隠してしまって、久しく行くえ不明のままであったが、あるとき同町新町の福村某という者が夢枕に立たれて、自分はいま御堂の後ろの竹林のなかに飛んできているのだがあまりに寂しいから元の所に還りたいとのお告げであった。某は翌朝早々に起きてじつは半信半疑の態でその竹林にいってみると、ほんとうにそこにござった。それからは町内の念仏婆さま連中が十五、六人で毎晩鉦をたたいて歩き回って、喜捨を集めその金でいまの御堂を再建し、御本尊さまを守り申したという。