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とうおういぶん

東奥異聞

佐々木 喜善

「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页

青空文庫

(3)この寺男となったというは、木下良安という者か(加藤咄堂氏著『日本風俗誌』上巻四九五ページまで参照)。しかしこれは当の本誓寺の墓にでもいってみたらすぐわかることと思うが、私はいまだいってみないからなんともいわれない。

(4)一例をいうと、気仙郡広田唐丹方の村々が先年山火事が延長して全村三、四百戸焼失したときに、同村の裏の竹林に村中にある多くのオシラたちが避難して飛んできていたという。また一個だけの例だと、上閉伊郡甲子村大字大橋の半四郎という家のオシラは、この家の火事のとき、仙人峠を越えて同郡上郷村字沓掛の観音堂の別当の家まで飛んできていたが、後にそれとわかって連れて帰ったという。

(5)この分は奥州の例ではないが、書物に現われていることだから一ついうと、紀州有田郡杉野原の野中に大師山というて昔大きな堂があった。そしてその堂のなかに黒仏という真っ黒な仏像があったが、あるときこの堂の火事のとき、その黒仏が飛んで、同じ野中の川向いである立石という家の屋根の上をオーイ、オーイと呼びながら室川というほうへ飛んでいったという。この話は森口清一君からの手紙で知った。