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とうおういぶん

東奥異聞

佐々木 喜善

「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页

青空文庫

にその詳細が尽くされている。自分はその書物のうちに、……今日まで文字ある人の耳にはいらなかったために、忘れ誤り消え砕けた口碑というものが、いくらあるかわからないというような条を読むにおよんで、いかにもそのとおりたまたま残っていた村々の語部の故老が亡くなるといっしょに、ほとんどいままでどれほどの貴重な口碑伝承が数多く墓場に埋められたかということを思ったのである。しかしいまのうちなら、その残り少なのなかからなおさらにわずかに稀薄に残されてあるだろうものを(かくいう言回しをすることがちょっと気とがめしますが便利であるから)秋の田面の落ち穂拾いのように、自分たちはそれを克明に拾い集め、あるいはまた昔の金掘りがしたごとく目当てとてもない山谷の金の脈を探り求めて、一梃の鍬で所々方々の土を掘り回ったりしたような心がけで、それらのものを捜しえようというような心持が起こるのを強く感じさせられる。自分は貧しい百姓を営みながらじつにそういう心持で、いまはすでに消滅した穀物の種子でも求めるように、奥州の山嶽地方に残っているそういう類の話をえたなかから、諸君が「神を助けた話」