轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页
そうして待ち構えていると、案に違わずその夜もやってきた。けれどもその夜にかぎりてその怪物はすかすかと磐治が小舎にはいってきて、じつは己は汝を見こんでぜひ頼みがあって、いままで毎夜ここに通うたが、今夜は思いきって打ち明ける。それはこの山に三面独眼一本脚の主がいてどうも己の思うようにならぬ。そればかりかながい間夜々己を追い回し、殺そうとするのでまったく生きた空もない、己はこの山の主になりたいのだが、彼がいるうちはどうもその望みが遂げられぬ、だからどうか明夜彼を撃ってくれ、頼むというのである。いかにもその翌夜になると、ほんとうに山谷が崩潰するような音響をたてて荒れてくる。何事が起こるだろうと思っていると、昨夜の二面独眼の怪物がやにわに磐治が小舎に跳りこんだ、そのあとから三面独眼一本脚の巨大な怪物が追いかけてくる。それを磐治はただの一打ちにと打ち殺した。二面の怪物は喜ぶことかぎりなくその礼にとて、この山奥にバンジが洞という所あり、そこが総体にキリの林であるからそれを汝にやろうという。磐治はそのキリの樹を伐り、また用いるに尽きるということがなかった(7)。