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とうおういぶん
東奥異聞
佐々木 喜善
「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 63,862 字 · 124 页
それから大騒ぎとなり巫女を呼んできてとにかく離してもらったが、その代弁としての条件はこの山の上に曳き上げて神としてほしいとのことであった。そこで浜人は多勢出てその石を曳き上げようとしたが、いかなこと根を据えてちっとも動かぬ。そこでまた巫女を頼むと、それは前の娘が音頭をとり先綱をとって曳いたらわけないとのこと、そうするとたちまちやすやすと石は軽く動き出して山上に曳き上げられ、いまの所に来座せしものだという。そうしてその娘はそれからは巫女となってその石に仕えてボボラ婆さまといって有名な神女であったと言い伝えている。その婆さまの子孫もずっとつづいていまも巫女だとのことである。
こういうと、この荒神の本尊石など(ボボラ石ともいっている)が千曳きされての後は永劫そこから動かぬから、あるいは血引きのほうになっていた時代があるかもしれぬ。また他には血引きのほうが先のもあるであろう。いずれにしても石の移転はそんなものであろうかとも想像せられる。それから神の移住には別に問題があろう。私の話はまだそれまでには成長しておらぬから他日に譲ることにする。
* 前掲「千曳石の話」