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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
05 一九三八年(昭和十三年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页
今下で兼重さんが来ている。野原のおばさんも来て、克子さんが大阪でお嫁にゆくことになり(汽車会社の設計につとめている技手か何か)その結納の百円がいるので、明晩私が大阪で二時間ほど途中下車し克子さんにわたしてやるために、相談をしていらっしゃる。山崎の小父さんも昨日は珍しく虹ヶ浜へ一緒にいらして愉快そうでした。峯雄さんが出征し、進さんというのが額の真中に玉が入っていて出せないらしい。頭が折々気分わるいという位だそうですが、妙な工合に骨をくぼませてでも入りこんでいると見え手術が危険のため全快出来ぬらしい。左の指が二本やられて指はついているが曲らぬ由。一番末の息子は十九歳の由、のんべえの由。
岩本さん(新)というひとは右腕をやられ、これも腕はついているが、水平以上にあがらぬ由です。
私は明朝九時五十何分かにここを立ち七時に大阪へおりて十時にのりつぎ、十四日朝かえります。十五日にはお目にかかりに出ます。夏布団があげてないので気にかかって居る。白揚社のカタログ十二年七月のをこちらへ送って来ているが、本年のはないらしい様子ですね。あすこで今ダーウィンの全集を出しはじめた。