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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

今は朝九時ごろ悪寒がして発熱する由。家の中の様子、病人の顔つき、こちらも息がつまるようで、苦しく、苦しかった。療養所のおそろしい話を、黙っていられない、という風に話されました。「どんな病院よりおっ母さんのそばがいいから、ここへおいて貰います」いろいろな感情があるらしいのです。「こんなにおっかさんてありがたいものだとは知らなかった。きょうだいと云ったって、手拭一つしぼってくれませんからね。」

病気はこわい。いやだ。しんから病気はしまいと思います。この間の手紙で、私が本気で云っていたこと、サナトリアムはいやだということ、あなたはそれについて返事をまだ下さらないが、本当にはっきり覚えて承知していらして下さい。ね。盲腸で切るとかそんな或時期だけのは入院が勿論いいが。

日本の療養所(市の)は、まだ実に低いところにあり、病人の箇々体質、病状などこまかに扱わず、病気と精神力との関係など全く無視されている。そのために例えば、八度熱があればどの注射、しなければならない、いやでも。そして、智恵子さんなどのように重態になったりする。その他の療養所では南湖院その他菌のあるものは入れないのだって。