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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

何のために建ててあるのでしょう? では病気を享楽するひとのためにあるというにすぎない。ブラブラ人の社交場にすぎない。(富士見などのように)ああ丈夫でいること丈夫でいること!

息のつまったような気持で出て、空気が吸いたくて神楽坂まで歩いて田原屋で御飯をたべました。それから歩いて稲ちゃん死んだユーゼニ・ダビの「北ホテル」という作品の話を熱心にして、(その作品のよさと思われている弱さについて。弱さにとどまっているこの作者の勤労者性について)矢来下からバスにのって、かえりました。

ダビについての感想は「くれない」の作者としての感想として特に面白かった、というのは、私はこの愛する作品については、いろいろの感想があるのです。作品が十分の構成をもっていないということ、構成のないということは、この作者のどの作にも或共通したところであるが、事件、心理のいきさつを、よって来っている現実としてつかんで整理しきらず、はじから現象に即したように描いてゆくため、構成がなくなり、語りつくされない部分が出て来る、そんな気がつよくしていたので、ダビの「北ホテル」の感想は二重に心をあつめてききました。