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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

05 一九三八年(昭和十三年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 229,387 字 · 453 页

青空文庫

ロシア語の人物は、きょうお話しした通り。間接に、今東京にいず、鵠沼辺に住んでいることなどきいています。これからの将来においても、つき合うことはないでしょう。

これらのことと、この前の手紙で一寸書いた私の一日の時間割とを合わせて見て下さると、きっと生活のこまかいところがいく分はっきりしたと思われます。

野原の人達が今度のことの成行きをよろこんでいることと云ったら! そちらへも手紙がゆきましたでしょう? 多賀ちゃん、富雄さん、克子さん、其々から来て、きょう又小母さまから来ました。春立ちかえる家の内と云う有様がうかがわれます。顕兄さんにもよくよくつたえて、と云って来て居ります。県立の学校があるのですってね、そこへ入る由です。富雄さんの気分も一転して明るくなったそうです。東京にすこしいて、今までとちがう雰囲気にふれたのは大層よかったらしく、骨折り甲斐があって何よりです。ではこれで、この手紙はおしまい。

十月三十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

十月三十日  第六十七信

二十八日づけのお手紙をありがとう。これは今朝例によって新聞や何かと一緒に現れました。