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ひきょうのにちりんき
秘境の日輪旗
蘭 郁二郎
「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页
謙一は、それを目がけて、ざんぶと身をおどらした。
五十メートルほども先の岩角で、祥子はやっと謙一の腕につかみとられた。
ダイヤ族の若者たちは、それに力を得て、巧みに舟を漕ぎ寄せ、祥子たちを救い上げた。
幸い、気をうしなっていたせいで、水はあまり飲んでいなかった。
手ごろな岩のところに舟を漕ぎ寄せて、人工呼吸をすると、すぐ息をふきかえした。
丸木舟の旅はまたつづけられて行った。
そして、ある日――。
はるかかなたに、とうとうと瀑布のおどり下る音を聞いた。――神の庭への滝だった。
その音に耳をすましていたダイヤ族の若者たちは、ぶるぶるとふるえだし、ここから自分たちを帰してくれるように、謙一にせがみはじめた。
謙一は許さなかった。――半分はおどすようにして、ともかく滝の近くまで来た。
およそ五十メートルほどの幅の滝が、直下三十メートルほどの所に深淵をたたえた滝壺に、濛々と、霧のような飛沫をあげて、落下しているのだった。
ダイヤ族の若者は、もう顔色をかえてそこそこに暇をつげて立去った。
「これから、どうするんです、兄さん、この滝と、旦斎先生のあの秘境との間に何か関係があるんですか?」