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ひきょうのにちりんき

秘境の日輪旗

蘭 郁二郎

「秘境の日輪旗」少年文庫、新正堂、1942(昭和17)年9月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,829 字 · 169 页

青空文庫

」

趙は、相手に目くばせすると、じりじりと二人の方へ近づいて来た。

――お誂えむきのところ……一時間と経たないうちに……。

英夫は、趙が調子に乗って口をすべらした言葉を聞きのがさなかった。

出帆してから、一昼夜以上も経って、まだ爆破しないのも、それでわかった!

時計爆弾の爆発を、自由に調節して、お誂えむきのところ――自分たちだけ逃げ出せるようなところへ船のさしかかるのを待っていたのだ。

だが、今は、一刻も猶予が出来ないのを見てとって、時間を繰り上げるためにやって来たのに違いない。

そうだとすると、一味のこの船にいる間、爆発しないことだけはたしかだが、頑丈なこの二人の男と、閉じこめられた船艙の中で顔を突きあわした以上、無事ではすみそうもない。

猛獣のような二人の悪漢との間が、一秒一秒縮まって来るのに、英夫の頭は何故か氷のようにすんで、咄嗟の間に、そうしたことが火花のようにひらめいた。

「冥土の土産に聞かしてやるが、さっき、若僧運転士をおびき出してやったのもこっちの計略だ。今ごろは、あいつも袋叩きにされてるはずだから、お前たちをやっつけるぐれえ南京虫を潰すようなもんさ、へっへっへ……」