Japanische Klassiker mit Furigana
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きどうむかしがたり
綺堂むかし語り
岡本 綺堂
Lesen Sie 綺堂むかし語り (きどうむかしがたり) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 183.656 Zeichen · 363 Bildschirme
途中に菅公硯の水というのがあります。菅原道真は七歳の時までこの麓に住んでいたのだそうで、麓には今も菅原村の名が残っていると云います。案内者は正直な男で、「まあ、ともかくも、そういう伝説になっています。」と、余り勿体ぶらずに説明してくれました。
「さあ、来たぞ。」
前の方で大きな声をする人があるので、わたしも気がついて見あげると、名に負う第一の石門は蹄鉄のような形をして、霧の間から屹と聳えていました。高さ十丈に近いとか云います。見聞の狭いわたしは、はじめてこういう自然の威力の前に立ったのですから、唯あっと云ったばかりで、ちょっと適当な形容詞を考え出すのに苦しんでいるうちに、かの七人連れも案内者も先に立ってずんずん行き過ぎてしまいます。私もおくれまいと足を早めました。案内者をあわせて十人の人間は、鯨に呑まれる鰯の群れのように、石門の大きな口へだんだんに吸い込まれてしまいました。第一の石門を出る頃から、岩の多い路はいちじるしく屈曲して、あるいは高く、あるいは低く、さらに半月形をなした第二の石門をくぐると、蟹の横這いとか、釣瓶さがりとか、片手繰りとか、いろいろの名が付いた難所に差しかかるのです。