轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

「週刊朝日」1942(昭和17)年1月4日号~5月24日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 页

青空文庫

恒景、教えられた如くすれば、果たしてその年、疫病諸村に充ち、家畜鶏犬までもみな斃れ、ひとり恒景の家のみ難なく寿を全うしたという。――わが朝でも、平安の頃よりは、禁裡殿上といわず、四民の家々でも、菊を見て心を楽しませ、菊酒を酌んで体を養う。またこの日、高きに登れば、幸いありといい慣わしておる。……謙信いま、求めずして、妻女山の地に在り、しかも一日の寿、なお天日に恵まれ、かくの如く健。楽しむべきではないか。祝わずしてどうしよう」

謙信はよく語った。

またよく杯を啣んだ。

努めて、諸将の神心を、長陣の鬱気を、散ぜんとするもののように。

菊を見ながら、諸将もみなよく杯を挙げた。歓語は沸き、鬱気は飛んだ。だが――しかもなおどこやらに、去りやらぬ一抹の愁いがともすれば沈みかけるのは、どうしようもないことだった。

「殿っ……。愚存を申しのべたく思いますが、おゆるし給わりましょうや」

ついに、怺えかねたものの如く、直江大和守が口をきった。よくぞ、いい出してくれたといいたげに、右側の長尾遠江守は、眼の隅から大和守を励ました。そして斉しく、残らずの者の眼が、謙信の面へあつめられていた。