轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
翻る袂、乱れる裾、なびく白木綿そっくりだ。
「薄月夜の墨田堤、桜群葉に蔽われて、はっきり姿は見えなかったが、間違いのない純白の髪、そっくりそのままのしゃがれ声。あの時の曲者に相違ないが、修験者とは意外だな。とにかく顔を見てやろう」
その時修験者は四角を曲がった。その角を広太郎がまがった時、やはり修験者は数間のあなたを、同じように人波を分けながら、悠々として歩いていた。急ぐようにも見えないが、非常に大股にでも歩くのだろう。容易なことでは追いつくことが出来ない。柳町から餌差町、この辺は広い往来で、両側に家々がビッシリと並び、いらかが薄白く陽に光り、地面からほこりが立ち、物売りの声、下駄の音、行き来の人の話し声、文字通りの雑沓であったが、その騒音を貫いて、ジャラーンと響き渡る物の音、修験者の持っている鉄杖だ。餌差町と春日町の間、ちょうどその辺まで来た時である。編笠をかぶった一群の武士が、辻からムラムラと現われた。と、修験者を指さして、口早に何やらしゃべったらしい。揃って後を追っかけた。「おかしいなあ」と広太郎、心の中で怪しみながら負けずに後を追っかけた。