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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
父子の対面
まさしくそれは墓場であった。イマニエル司僧と天童の! そしてお町の悲しい恋の!
やがて二人はふもとへおり、甲州街道へ足を入れた。彼らは間もなく異国へ行こう。二度とこの国へは帰って来まい。神よ! この世におわすなら、苦労しながらむくいられなかった、可哀そうなお町の前途にだけでも、その恩寵ありますよう!
父子の対面
慶安四年四月二十日、晩春初夏の物憂い日、
「天草一揆! 吉利支丹の奴ばら! 虐みに来おる! 許してくれ!」
物狂わしく叫びながら、将軍家光薨去した。年齢四十八歳である。
千代田の内外大騒動、大名旗本総登城、だが家綱職を継ぎ、功臣名将輔佐したため、シ――ンと天下治まった。しかしもちろんその底において、一味の不安脈々と、波打っていたのはいうまでもない。
同じ月のある日のこと、朱舜水屋敷から二挺の駕籠が供揃い質素にかつぎ出された。着けられた所は紀州屋敷、駕籠から出たのは光圀と君尾、スーッと奥へ通って行った。
紀州家の客間、主客二人。――
「光殿、厚くお礼をいう」こういったのは紀州頼宣、感慨深い表情である。
「偶然お助け致しましたまでで。しかし伯父上のご落胤とは、夢にも想像いたしませんでした」