轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
「ややッこりゃお侍様どうなさりました」
若者はすぐ抱き起こして流れの水をすくって呑ませた。新九郎は落着いてふとわが身を省りみると、天の加護と云おうか、さしたる怪我もしていなかった。してみると、断崖から小六が槍を投げ飛ばした刹那新九郎も運を天に任せて藤蔓から身を放したのが、この奇蹟となったのであろう。
「ここはどこでござろう?」
「よく何ともござりませんでしたな。この渓流の出るところが保津川の上流でござります。わしはこれから一里半ばかり下の深谷村の儀助というものでござりますが、まあわしの家で少しお憩みなさるがようがすだ」
と儀助は新九郎の無事であるのを、むしろ怪しんでいるくらいであった。
「ではお言葉に甘えて、ご厄介になりたいが」
「ええご遠慮はございません。わしも飛んだ命拾いをしたようなものでがす」
と儀助は魚籠を肩にかけて案内して行った。新九郎もさて立ち上がってみると、さすがに骨と肉とが離れるような疼痛をどこともなく覚えるのだった。
二
「儀助殿、たいそう竹刀の音が聞こえるが、この近所に道場でもござるのか」
新九郎は今日で三晩親切なこの家の世話になっていた。