轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
七
「こいつらあ今日埴生で、一族の者を二人まで手にかけやがったので、頭領がおそろしくご立腹なすって生捕って来いと云うんで、ふん縛ってきたところでごぜえます」
と手柄顔に云った。
「まあ見りゃあ優しそうな侍に、一人は六部のようじゃないか……」
「こういう奴が油断がならねえんです。いずれ今日明日のうちにゃあ、例の所で嬲り殺し、岩屋の苔の肥しになるんでさあ」
「可哀そうに……」
「憐れをかけると癖になりやす。やいッ歩け」
と権右衛門は突慳貪に、新九郎の背中を小突いてまた向うへ引ッ立てて行った。
橋廊下の阿娜な女は、片肱のせた欄干に頬づえついて、新九郎の後ろ姿をいつまでもじっと瞳の中へ溶けこむほど見送っていた。
「ああじれッたい! あんな男を見ると、また山の中が嫌になるもんだねえ……」
呟きながら、横へさした黄楊の櫛で、洗い髪の毛の根を無性に掻きながら、黒曜石の歯をならべた鉄漿の唇から、かすかな舌打ちをもらしていた。
七
黒木の太柱に神代杉ずくめの原始的な館ではあるが、襖、衝立の調度物は絢爛なほど贅をつくした山荘の一室に、雨龍太郎は厚い褥に大胡坐をかいて、傍らにいる一人の浪人を顧みて、こう云った。