轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
三
お分り召されたか」
早口に囁いて、またスタスタ供揃いの中に姿を交ぜて行ってしまった。
三
その日、増上寺参詣を名として、大奥を出た将軍家の愛妾お通の方の駕は、山内の休所で供の者を減らし、ほんのお忍び同様な二、三人で愛宕の裏坂へ向って行った。
社参なら供揃いのまま来る筈、花も散り牡丹畑もない葉桜時のこの山へ、はて何しに来たのかと思うと、駕を出たお通の方は、侍女に日傘をささせ、女坂の中段から右の平地を斜に切って、そこに一軒ある古風な生垣に蠣殻かぶせの屋根門をスウとくぐった。
藤棚の日蔭へ盆栽を持ち込んで、パチン、パチン、鋏を鳴らしている植木屋の弥平は、ヒョイと入って来た人を見て、挨拶もせず奥の方へ駈け込んでしまった。
「もし、御方様、御方様」
「弥平ではないか、何を慌てていやるのじゃ」
「どうしてここをお知りなされたか、大奥のお妹君さまが、あれへおいでなされました」
「え、通子が来やったと? ……」
母屋から離れた二間つづきの茶室の内で、こう軽く驚いていたのは、菖蒲の寮が焼けて以来、その行方を疑われていた光子の御方――
この愛宕の裏山に住んでいる植木屋の弥平は、永年菖蒲の寮に出入りして、格別目をかけられていた者であった。