轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
四
そして、雨龍へは顔の下からさし覗くようにして、甘い息に男を耐えなくまでした。
「そうじゃありませんかい。私が気がつかなければ知らぬこと、現在恩のあるお方が殺されるのは見ちゃあいられませんからね……それよりまあお頭領は、早く顔の傷でもどうかしなくっちゃ……権右、お前たちゃ頭領の怪我を何で平気でいるのさ。早く奥へお連れして、手当をしなくっちゃしようがないじゃないか、こんなどころの騒ぎじゃありゃあしないよ!」
とお延は女が勝手を切って廻すように、てきぱきと云って、この場の雰囲気を推移させるのに努めた。――女の力もある場合には怖ろしい司権者となるものだ。雨龍太郎は邪魔者が入ったのでにわかに顔の傷が痛み出したのと、お延の魅力に力負けがして、
「たとえどんな恩人であろうが、このまま追ッ返すことあならねえが、そのうちに身共がもう一度調べるまで、どこかへ厳重に抛り込んでおけい」
と云い捨てて奥へ遁れてしまった。
四
春日新九郎は、今日で七日あまりも陽の目も見ぬ頑丈な座敷牢の隅で、つくねんと膝を抱えて暮らして来た。
そのお蔭で、彼は故郷を出てから夢中であった過去のことを、静かに瞑想してみることが出来た――今憶えば、病み上がりの柔弱な体で、よく大胆にこの冒険が敢えて出来たと思えるのだった。