轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
思い切り大柄な浴衣に、紫紺緞子へ銀糸の入った帯を派手に締め、来て見よがしの唐犬額という風装は、云わずと知れたこの時代の町奴。薬研堀の生不動与兵衛であった。
「てめえたちは、料理や酒ばかりに気を取られやがって、新九郎様がお見えにならないのを知らねえのか。利助ッ、待っているから、もう一度飛んで行って、早くお誘い申して来い」
「気がつきませんでした。すぐお連れ申してめえります」
と乾分の利助が、ほど近い薬研堀の部屋へとって返して行った。
春日新九郎が、この江戸の土を踏んでから、かれこれ一年半余りになる。伝吉の添状で、生不動も胸三寸へ快く引きうけ、その後二、三の道場へも就いてみたが、どうも思わしくないので、この頃は武者修行に出ようか、旅に名師を求めて見ようかなどと、しきりに悶えている様子だった。
「そう焦ったところで、どんな名人でも、にわかに腕が上がるものじゃありません。江戸は広うごぜえますから、まア気永に好い先生を見つけ出して、それからみッしりのご修行が肝腎でごぜえますぜ」
生不動は今日もこう宥めて、浅草川へ涼みに誘ったところだった。新九郎もその時は、お供をしようと云っておきながら、間際になって姿が見えない。