轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

うえすぎけんしん

上杉謙信

吉川 英治

「週刊朝日」1942(昭和17)年1月4日号~5月24日号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 129,102 字 · 256 页

青空文庫

登る妻女山

も充分考慮されていることはいうまでもない。

部下を四、五名連れて行った。

その中には、味方の誰かが率いて来た初陣の息子でもあろうか。まだ十三、四歳にしか見えない少年武者もひとりいた。その小童は、柄の長い日傘を携えて、伝右衛門がやがて陣地を離れて、千曲川の岸まで来ると、ぱっと、日傘をひらいて、主人の頭上に翳し懸けた。

この傘は決して無意味な行装ではない。

軍使の川渡りは、船中、傘をさすことが、国際法に約されているのである。傘を開いて渡って来る舟には決して弾や矢も放たぬことになっている。

田船を大きくしたような底の平たい川船は、いま、その日傘をさし懸けた小童とその主人と、わずかな部下を乗せて、千曲川の北岸から此方へ棹さしてきた。――迅い水流を切っては、あざやかに棹を突いて船をすすめてくる兵の上に、赤とんぼが戯れていた。棹の端に止まったり、離れたりして――。

登る妻女山

「おっ……敵方から?」

「軍使が見える。軍使だ」

妻女山の一端に立って、絶えず対岸を監視していた物見の小隊は、こう物珍しげに、手をかざしていた。

鬼小島弥太郎は、この辺に屯している兵七十人の組頭だった。