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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
また誘拐
だんだん変てこなものになる。だがいったいどうしたのだ。地上に置かれた人形が、口上に連れて手を動かし、首を振ったりするではないか。いや不思議はない、ぜんまい仕掛け、しかしこの時代では驚異である。
「やア踊り出した踊り出した」
「いきてるいきてる、活き人形だ」見物は口々に囃し立てた。
その騒ぎに誘われたのか、ヌッと現われたのは天草時行。
「騒がしいの、どうしたのだ」醜いみつ口でうめくようにいった。
「傀儡でござる。いきている傀儡」こういったのは築土新吾。
「どれ」とかき分けて前へ出て、硫黄火のように青光る、小粒の眼でにらんだが、ピョンと背後へ飛び退いた。「逃げろ! あぶない! ほえかかるぞ!」
爆発の音の響いたのは、実にその次の瞬間であった。煙硝の匂い、黄色の煙り、ワッという悲鳴、逃げ出す足音! 傀儡が破裂したのである。もうそのころには老傀儡師、どこへ行ったものか姿がない。
「やられた!」と叫んだのは天草時行で、屋敷の内へ駈け込んだ。
「方々、巻軸は盗まれましたぞ!」
間もなくこういう叫び声がしたが、同じその夜に小松原家でも、一つの事件が勃発した。
また誘拐
お京が無事に帰ったので、広太郎と金弥とを客として、小松原家では宴を開いた。