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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
「東京日日新聞」1926(大正15)年5月28日~11月14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,479 字 · 394 页
藪の中で
日本紀元二千三百二年といえば、慶安三年のことであって、「爆発発掘」と記されてあるが、これは一人でやったのではなく、爆発したのは天草一味であり、発掘したのは水戸光圀と、朱舜水との一行なのであった。つまり時行を大将として押し寄せて来た天草一味が、傾城塚へ地雷弾をしかけ、裏口を破壊したのである。その火が内部へ燃え移り、閉じこめられていた女達が、大半焼死したのである。ところで城之介はどうしたかというに、すなわち身をもって逃がれたのであるが、その間にちょっといきさつがあった。というのは藪の中で天草一味にグルグルと取り巻かれてしまったので、本来なれば殺されるところを、時行と次のようなかけ合いをして、ともかくも命だけは助かったのである。
「オイ城之介、もう駄目だ」
「それじゃアおれを殺すつもりか」
「杉窪の里の裏道で、築土を殺したのはお前だろう?」
「時のはずみでなぐり殺したよ」
「その時巻軸を奪い取ったろう?」
「いやおれは取りはしない」
「あの時築土が持っていたのだ、一本の方の巻軸をな。一本の方はおれが持っていたが」
「いやおれは知らないよ」
「あとから死骸を探しにやった。