轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
「駄目な事だ。いくらもがいてもこの小六が逃がすものか。さッ、来なければ奴一突きだぞ」
「わ、私を殺すと云うのかい」
「ぞくに云う、可愛さあまって憎さが百倍よ」
「…………」
「どうだお延、まだ貴様も三十前だぞ……」
「小六さん――私ゃあお前さんには、どうしてもかなわないねえ……」
「して、どう腹をきめたのだ」
「行くよ、どこへでも連れてっておくれなさいよ……」
とお延は妖媚にもたれかかった。
「そう来なくてはならぬ筈だ。じゃお延、ここらでまごまごしちゃあいられない。せめて若狭路へでも入ってからゆっくりしよう」
と小六は強い力で、お延の手を曳いたまま歩きかけたが、さすがにお延は新九郎に後ろ髪をひかれるかして、小六の腕から身を反らして振り顧った。
「む。まだあの若侍に未練を残しているな、いッそその迷いの種を、目の前で打ッ斬ってやるから見ているがいい」
と忘れかけていた残忍な嫉妬の眼は、再び夜叉のように燃えて、そこの岩蔭から、潜んでいた新九郎の姿を見出してずるずると金剛力で引き摺り出した。
新九郎は南無三と、渾力をこめて振りほどこうとしたが、小六の力は盤石の如く彼に動きも取らせなかった。