轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
七
「だけれど、わっしが小耳に挟んでる話じゃ、新九郎様が、鐘巻自斎とかいう者を、剣道の上で打ち込まれねえうちは、お兄上とは、会いもしなけりゃ、便りもできねえ仲だということじゃありませんか」
「そうだ、その重蔵様から、初めて飛脚が来たところを見ると、こいつは何かよほどな一大事が、持ち上がったんじゃねえかと思われるのよ」
「ところがその新九郎様が、今日で三日も生死が分らねえと来ているんだ。親分、重ね重ね心配が降って湧きやしたね」
「こんがらもせいたかも、手分けに行っているんだろうな」
「ええ抜かりはねえ筈です。河岸筋の御番所から船宿の手まで借りて捜しています。今日見つからなければ、あのごた騒ぎの中で、笊組の奴に叩っ斬られたものと見るより他はねえと云って出て行きました」
「む……」
と生不動は、答えるでもなく太息を洩らして、重蔵の飛脚状を前に、いつまでも腕ぐみの中へ顔を埋めていた。
七
江戸に、この事あった二月ほど前である。
いつも日蔭に心をおく大月玄蕃は、相変らず、眉深な編笠に面を包んで、同じ頃な年配の武士と肩を並べながら、越前福井の城下をブラブラと歩いていた。
四月とは云え、東都と違ってこの辺は、北日本の海からくる風がまだ冷たかった。