轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
二
二
吠えかかった山犬の群は、たちまち、千浪の得物を打ち落し、次に、彼女の体を、濤がしらへ泛かべたように、軽々と引ッ担いで、例の、陰々とした樹下闇の細道へどッと走りこんだ。
ここに、その物音とは別に、天狗の評定岩から傾斜している、栗の密林を、雷鳥か、鼠かと怪しまれるような迅さで、悪魔の群へ向って、ザザザザザザッと駈け降りてきた人影。
と、何の異変?
「あッ」
と前駆の一人が絶叫してぶっ倒れた。つづいて、ドタッ、ドタッ、陽の目見ずの闇を、縦横にきらめいてきた大刀の青光り。
「いけねえッ。邪魔が入った」
「たたんじまえッ」
千浪の体を抛り出すがはやいか、剣光を目あてに、わッと打ってかかったが、たちまち一人の敵に、タタタタと後えに押し戻された荒くれどもは、ただ渦を巻いて狼狽え騒ぐばかり。その間にも、右へ左へ、颯々と血飛沫の雨が走る。
「手ごわいぞ、油断するなッ」
と喚くのを聞くと、残る者たちはにわかに怯気づいて、わらわらともと来た方へ蜘蛛の子となって逃げ散った。
一方では、大月玄蕃の陥し穴に墜ちた春日重蔵が、二人の強剣に挟まれた形となって、まさに火を降らしての苦闘の最中であった。