轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
貴方は誰に断わってお起きなされました」
御方がそこへ入りながら、微笑んでこう云うのを、真から、立腹されたと思った新九郎は、顔あからめて、慇懃に云い訳する。
「段々とお手厚いご恩をうけながら、誠にわがまま千万ではござるが、前にも、お話し申してある通り、定めて縁故の者どもも案じていようかと思われますゆえ、今日はお暇をいただいて、後日改めてお礼に出る所存でござります」
「おおご尤も……」
御方はまだ微笑を消しきらないで、姉が、弟を見るような、軽い戯れを帯びた言葉を使われる。
「ですけれど、それ程お前様を案じているお人というのは、一体、どなたさまをお指しなのじゃ」
「永らく世話をうけている宿の主。ご承知もござりますまいが、生不動与兵衛と申す者でござる」
「仰っしゃいませ、妾は、ちゃんと知っておりますぞえ」
「ええ、まったくほかの口実ではござりませぬ」
「それ程に、巧みな逃げ言葉を遊ばすなら、妾も今日は見せて上げるものがござります。春日様、お前様もこれを見ては、もう綾にする作り言葉もございますまいが」
金繍の帯の間から、御方が抜きとって、さッと開いたのは、赤地へ銀摺りした女持ちの小扇。