轻松读懂日语经典作品
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
「もシ……」
と、そッと傍えの人の袖を引いた。
「あれに貼ッてある目録の名をご覧なさいませ」
「おお賭け試合の勝ちビラと見えて、いろいろな剣客の名が見えるが、どうせ衆愚を騙かす山師の客引き、あてになるものではござるまい」
「いいえ、試合のことを申すのではござりませぬ。右から四枚目の名を……」
と云いかけて千浪はにわかに口をつぐみ、あたりの人に油断のない眼を配った。そう云われて、重蔵も初めて四枚目の目録を見ると――投げ槍三本試合に於いて一本どりの名誉。一刀流大月玄蕃殿――という文字が紛れもなく下がっている。
「や」
思わず喉から出る声を押さえて、笠と笠のうちで頷きあった二人は、そのままグングンと人混みを掻き分けて、客呼びの男の前まで泳ぎ抜けて来た。
「これ若い者、少々ものを訊きたいが」
「エ、飛び入りですか」
「いやいや、賭け試合を望む者ではない。ちと訊ねたい儀があるによって、小屋主の小六殿に会わせてもらいたいのじゃ」
「ちぇッ」
客呼びの男は忌々しそうな舌うちを鳴らして、
「この忙がしい汐時に、悠々と会ってなんかいられるものか、夕方出直して見るがいいや」
「でもござろうが、折入って一言お訊ね申したいのじゃ、必ず長くはお邪魔申さぬつもり」