轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
この男が、此奴と睨んだ者はどんなことがあろうとも、その場で斬り捨てない代りに、必ず邸へ攫って行って、存分な殺し方をすると、当時の町奴にも怖れられていたものである。
既に今も、新九郎の一命を乗せて、怖ろしい蜘蛛手かがりの駕は、冥府の門へ息杖を振り込んで行く――
×
ぽん、ぽん、ぽん……手を叩く音がする。柔らかい肉の音だ。女中の返辞が長く通る――するすると、奥の部屋から橋がかりの離亭へ女中が渡って行く。
今、深見重左が立ち去った所と、背中合せの棟であった。
「お呼びなされましたか」
「先程頼んでおいたお駕と使いの者は?」
「はい、ちょうどただ今参りました。お支度がよければいつでも宜しゅうござります」
「では、別に誂えましたお料理の方も……」
「はい、相違なく、後からお屋敷へお届け申します」
「好しなに頼んでおきまする。左様なればこのお手紙を、使いの者に持たせて大急ぎで、南町奉行のお役宅付、本間才次郎という与力衆にお渡し下さいますよう」
「畏まりました」
女中は、扱い馴れぬ手紙に目をみはりながらそこを辷って行った。その跫音が遠退くと、部屋の中から妙にも麗しい声の主が、