轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页

青空文庫

二人は、ただもう有難涙に暮れるばかり……君とは言いながら、まことの慈父にめぐり逢ってやさしい言葉をかけられたような心地がした。

ややあって忠房は、

「ウム、そちに会ったを幸いに、是非聞きたいと思うていたが……」

と褥からやや膝を進ましてたずねだした。

「その方の弟、春日新九郎と申す者、以前は福知山でもきつい臆病者の折紙つきであったそうじゃが、そちが鐘巻自斎のために片足を挫かれたみぎり、奮然と江戸表へ立って武芸修行の一念に向いおったあのたのもしい若者は只今、如何致しておろうの?」

「は、はい……」

重蔵は、ギクリと胸板を刺しぬかれたような苦痛をおぼえた。

「聞くところによれば、新九郎は身を粉に砕くまでも、鐘巻自斎以上の腕前となって、彼奴に二度の試合を申し込み、兄の恨みまた、桔梗河原で当家が受けた、あの無残な恥辱をすすがねば死すとも帰らぬという意気込みで修行いたしてくれるということ……それ聞いた時のこの忠房がうれしさは、何に譬えんものもなかったぞ」

「…………」

重蔵はどう答えていいか、まったく、五体を冷汗に凍らせて、穴があれば消えてもしまいたい心地である。