轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
「キング」大日本雄辯會講談社、1925(大正14)年1月号~1926(大正15)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 243,807 字 · 482 页
ええ、もう気色が悪いから、そんな話を聞かしてくれるないッ、思い出してもむしゃくしゃすらあ」
「だから親分、こうして飛んで来たんでがす。そ、その仇の野郎が、このご領分の中へ図々しくのさ張って来やがったんです。これから福知山へ行くって云ってやがったから何をする気か知れませんぜ」
「ふむそうか。ではたしかに試合で重蔵様の足骨を砕いた、あの鐘巻自斎に違えねえな」
「見違えっこはありません。あんな長い髯のある侍なんて、滅多にありゃしませんから」
「よしッ。よく知らせに来てくれた。さすがてめえもご領分の町人だ、やいやい二階にいる奴らあみんなここへ降りて来い!」
と伝吉が奥へ向いて声を張ると、何事かと、二階で開帳中の乾分たちが、どかどかとそれへ出て来て、
「何です! 親分」
と渦を巻いた。
「くどいことを云ってる間はねえ。どいつも脇差を一本ずつ打ッ込んで俺の後に尾いて来い」
「合点でがす」
と気の早い弁慶縞や豆絞りの連中が、思い思いに向う鉢巻、足ごしらえをしながら、
「おい、行先はどこだい、縄張り荒しか」
「そうじゃねえ、今俺あ階下にいて聞いていたら、桔梗河原でこっちの春日重蔵様の足を打ッ挫いた、かの三国志の絵にあるような侍が、図々しくここらへうろうろ来やがったんだとよ」